初夏の日差しがまぶしい頃

 先日の出来事から数日がたった。

 学校が終わりいつものように木坂は工場に行っていた。

 しかし、それはいつもと違う状態でもあった。

 向井と一緒に来ていたからだ。

 あの件以降

 向井も高宮の開発しているイクサのテストパイロットとして

 呼ばれるようになったのだ。

 さらに軍から新しい機体の開発の要請があったのだ。

 イクサの性能の高さと先日の戦闘で

 依頼が以降その新たな機体に開発が集中していて

 なかなかイクサの改良が進まない。

 しかし、その新型はイクサのパーツを流用しているため

 基礎フレームはすでに完成している。

 ただ、ライフル等の武装をどのように

 するかの対応で忙しいようだ。

 

 「しかし、こっちの納品って大丈夫か?」

 

 木坂は向かいに言った。

 しかし、その向井もそれらに関してあまり知らず

 てか、最近メンバーに入ってきたから

 なおさら分からないだろう。

 

 「それよりもあそこの軍人誰?」

 

 と、言っていた方向に軍人がいた。

 彼は整備士と話している。

 

 「あの人は確か、戌井少尉だったかな?」

 

 シューゲルのテストパイロットらしいが

 と、言っている木坂の説明を聞き流しながら向井は

 イクサのコックピットの近くに立っていた。

 今、イクサの周辺ではバッテリーの問題を解決しようと

 技術者がいろいろ改良を加えている。

 さらにバックパックに大型のバッテリーを搭載した

 バックパックを開発していた。

 その製作工程を見学することにした。

 

 

 

 イクサ(ERX-00)はバックパックを想定していた構造だったらしく

 今はバックパックの方を製作しているようだ。

 根性の中は非常に蒸し暑かった。

 製作こうていを見ていたら高宮が向井たちに近寄ってきた。

 

 「今日も来てもらったのにすまないね」

 

 どうやら今日もこのまま帰るようになりそうだ。

 このところ急遽発注があったシューゲル(ERX-01)の方に

 集中しているようでイクサはしばらく現状凍結らしい。

 

 「夏休みの間はどうすればいいのですか?」

 

 確かそうだ来週から夏休みだからその間いつ来れば良いのか

 それが気になる。

 

 「それは必要なときに連絡するから…」

 

 「そうですか…」

 

 向井と木坂の二人は荷物を持って帰っていった。

 

 

 

 それから二週間がたった。

 高校は夏休みに入り

 シューゲルの開発もほぼ終わった。

 後は細かな調節と稼動テストだけになった。

 模擬戦をやるようで呼び出しを受けた

 向井と木坂が工場に着いたのは11時をまわった頃だった。

 

 「急に呼び出してすまないね」

 

 高宮は言った。

 向井は

 

 「別にかまいませんよ」

 

 木坂は

 

 「ちょうど工場に行こうとしていましたから」

 

 と、それぞれ言った。

 

 「それでは本題に入ろう」

 

 高宮は言い出し始めた。

 

 「今回の模擬戦は軍の特殊車部隊第一小隊が相手だ」

 

 そのことで一つの疑問を覚えた木坂

 

 「え、軍の人と模擬戦ですか?しかも第一小隊」

 

 少し驚いたように言った。

 なぜ軍の部隊と模擬戦をしないといけないのだろう。

 

 「今回は軍の依頼でイクサ等の機体との戦闘経験がほしいということだ」

 

 なるほど、ついでにシューゲル起動テストとプレゼンができると言うわけか。

 しかし、それはそれでリスクがある。

 木坂と向井はあの戦闘以降イクサを動かしていない。

 それに、シューゲルもそのときが初の起動だ。

 

 「それに一個小隊あていの模擬戦ですよ」

 

 木坂はこう言いたいのだ。

 相手は三機でこちらは二機しかいないのに

 しかも専門職と言ってもいいぐらいで

 それの第一小隊だからエースパイロットばかりだ。

 相当の腕をもっていることに違いない。

 この前の戦闘を見てもそうだ。

 

 「そんなのを相手に模擬戦ですか」

 

 「軍の機体は第一世代でイクサとシューゲルは第二世代だ。それに…」

 

 されに、といった瞬間

 そこに技術者が高宮に

 

 「イクサ二号機ロールアウトしました」

 

 と、言った。

 そのことに向井と木坂は仰天した。

 

 「イクサ二号機って」

 

 そう言う事か…

 これで模擬戦をやってデータを取り新しい機体を開発したい。

 それだけではなく性能の高さを見せ付けて

 軍の次世代開発に参入しようと言うことか。

 

 「とりあえず当日はよろしく」

 

 「え、今日ではないのですか?」

 

 呼び出されたときは模擬戦をやると言われて来たのだから

 今日と思ったのだろう。

 

 「今日はとりあえず機体の再度調節をしたいから…」

 

 と、それぞれ各自の搭乗機で整備士とともに調節をはじめた。

 

 

 

 それから数日がたった。

 模擬戦の会場となっているのは

 軍の基地内でいつも第一小隊の面々が訓練している

 エリアよりも山の中を使っている。

 それでも軍の敷地内で飛び道具もそれなりに使える。

 しかし、今回はペイント弾を使用している。

 各自は自機のコックピット内で始まる瞬間を待っている

 そこにその6機に対して通信が入った。

 

 『これより模擬戦を行ないます』

 

 女性の声だった。

 

 『ルールはペイント弾を敵機に当てて全機戦闘不能になったチームの負けです』

 

 しかし、こんな広大なフィールドで模擬戦をするのは初めてだ。

 木坂はそう思った。

 それ以外に向井はこれで二回目の搭乗で

 さらに戌井少尉のシューゲルも初起動だ。

 こんなメンバーに対して軍の第一小隊は

 訓練でココを使用したことがあるのかは解らないが

 訓練の毎日だから扱いに慣れているだろう。

 そんなことを思いながら開始の合図を待っていた。

 

 

 

 そんな木坂の心配を他所に

 向井は前回動かした時

 どんな動かし方をしていたのか

 頭の中で記憶をさかのぼっていた。

 しかし、そのときはとっさに動かしたので

 記憶が途切れ途切れだった。

 

 「動かしながら思い出すか…」

 

 そう呟いた。

 

 

 

 しかし、彼らが模擬戦で使うエリアは

 五キロ四方でかなりの広さがあった。

 その対照的な場所に第一小隊とERXシリーズの部隊が待機していた。

 

 

 

 その対象的場所で待機している第一小隊の面々は

 

 「ブロン、一号機二号機相手はメーカーのテストパイロットと第二小隊隊長だ」

 

 トライの搭乗している日下大尉が言った。

 日下諒

 特殊車部隊第一小隊の隊長で

 東方軍最新鋭機のパイロットを務めている。

 

 「本気を出すわけにはいかないだろう」

 

 『隊長、そのイクサは三週間前のアンノーウとの戦闘で加勢してくれた機体です』

 

 「一号機、戸中少尉その過剰評価は信頼できん」

 

 『申し訳ありません』

 

 戸中は謝った。

 戸中一朗

 軍の少尉で特殊車部隊第一小隊の隊員で

 ブロン(ERE-01)一号機に搭乗しているパイロット

 

 『戸中は心配性だな』

 

 戸中とは別の人からの通信だ。

 

 「二号機、高旗少尉それも解らないのだ」

 

 『どう言う事ですか隊長』

 

 少し心配になってきた高旗

 高旗公平

 軍の少尉で戸中と同じ特殊車部隊第一小隊の隊員で

 ブロン(ERE-01)二号機に搭乗しているパイロット

 戌井とは同期でライバル視している。

 それで無くともいろいろと競い合った仲だった。

 

 『隊長。戌井の相手は私がします』

 

 そのことを知ってか日下は

 

 「良いだろう」

 

 と了承した。

 

 「では、新型は二号機に任せて、私と一号機はイクサを相手にする」

 

 『『了解』』

 

 二人から返事があった。

 

 

 

 両者着々と準備をしている中そのエリアに

 フードをかぶった人影が在った。

 その姿は明らかに不振な動きをしている。

 さらに厳重な警備の中どうやってココに入ったのだろうか?

 

 

 

 イクサ(ERX-00)の中で待機していた木坂は

 開始の指示を待っていた。

 しかし今イクサは通信機以外は切った状態である。

 機体を稼動状態にしていたら

 すぐににバッテリー切れを起こしてしまうからだ。

 そこに通信が入った。

 

 『それでは模擬戦を始めます』

 

 とうとう始まった。

 

 「向井どうする?」

 

 と、向井にどう作戦を取るか聞いた。

 

 『とりあえず戌井少尉と共に行動とった方が良いと思う』

 

 「それはそうだ」

 

 確かそうだ。

 イクサでは索敵に限度がある。

 ただでさえ警備用として開発されたのだから、

 センサーは熱センサーしか搭載されていない。

 その後、シューゲル(ERX-01)の後を追うように

 二機のイクサが付いて行った。

 

 

 

 広大のエリアに少し開けた場所があった。

 その終身に先ほどのフードを被った人物が…

 

 「さて、クライアントの最後の仕事だ」

 

 と、呟いた。

 するとその周りの地面から生えるように

 あの黒い異様な物体が現れた。

 そう、その黒い物体をこの町に出現させている張本人だったのだ。

 しかし、その形状は前のと違っていた。

 腕にあたる部分からスラットしていて剣のように見える。

 それだけではなかった。

 もう別の固体が現れた。

 その固体は腕がキャノンになっていた。

 そして、もう一体の固体。

 それは今までのとは違い巨大で恐竜のようにも見える。

 前の二つの固体とは比べ物にならない凶暴で動きが身軽だ。

 

 「さて、この世界の皆さん成功を追い祈りしているわ」

 

 そお言い残してまばゆい光に巻き込まれていった。

 その光が消えたときその人も消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

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