緑美しい山々を縫うようにすき進む戦艦

 マラス級二番艦ハヤテ

 この戦艦の拠点である東方司令部の基地から出向して数日が経った。

 今は中央司令部と西方司令部の管轄の栄えめを航行している。

 その戦艦の格納庫の一角で人だかりが出来ていた。

 どうやら機械を使って模擬戦をしているらしい。

 今は第六機動部隊第一小隊と第二小隊が模擬戦をしている。

 ルールいたってシンプルに小隊全機撃墜されるとその小隊は負けとなる。

 

 

 

 人だかりの目線はその模擬戦を写しているモニターだ。

 その中に大垣大樹の姿があった。

 彼もその模擬戦を見るためいこの場にいたのだ。

 その周囲には彼の所属している第一特殊部隊のメンバーもいた。

 彼らも模擬戦を見るためにいる。

 さらにその後模擬戦をするようだ。

 しかしこの部隊のパイロットは三人しかおらず

 相手をしてくれる小隊もない。

 こんな状況で模擬戦をするのか

 大垣はそう思った。

 そこに聞きなれた声が聞こえた。

 

 「これはすごいねぇ〜」

 

 向井だ。

 ここ数日向井らメーカーの技術者が組み立てている機体を見学するのに

 毎日通っているのだ。

 しかも正式に自分がパイロットに決まったのだ。

 

 「第一小隊と第二小隊が模擬戦をしているのですよ」

 

 大垣が向井に向いて声を返した。

 それと同時に近くにいた隊長の戌井が向井を見た。

 なんだろうと大垣は戌井を見た。

 その顔は明らかになにかを思いついたときの顔だった。

 

 「お、そうだ向井ちょっと模擬戦に参加してくれんか」

 

 その戌井の言葉に周辺が凍りついた。

 ただでさえ第一特殊部隊のパイロットは凄腕だけに

 一般のテストパイロットを参加させていいのか

 それどころか戦力差が大きい

 そんな模擬戦ありか

 大垣はそんな事を考えていた。

 しかし、振られた本人は

 

 「いいですよ」

 

 あっさり了承したのだ。

 その言葉によりさらにその場の空気が凍りついた。

 この人何を言っているの、と

 

 

 

 第一小隊と第二小隊の模擬戦が終わり

 とうとう始まった一般人交じりの模擬戦

 二対二のタッグ戦だ。

 チーム決めはコンピュータによりランダムに決められた。

 戌井と佐伯組と尾賀木と向井組だ。

 各自現在の自機で模擬戦をするようだ。

 戌井はERX-X102ライニング

 佐伯と尾賀木はERX-X1022ライニングサード

 向井はERX-00EXイクサEX

 ERXシリーズの機体同士で模擬戦をする事となった。

 大垣はそれをモニター越しに見ていた。

 その周辺の軍人はどちらか勝つか賭けを始める者

 この組み合わせを見てこの場を離れる者

 さらにはメーカーの人間まで見に来ていた。

 

 「コレは明らかに・・・」

 

 どう見てもこの組み合わせは、圧倒的にバランスが悪い。

 民間人がいる方が圧倒的に不利なのだから。

 

 「コレはなかなか面白い組み合わせだな」

 

 ふと気が付くと隣でいつも話しかけ着てくれるメーカーの人がいたのだ。

 

 「それはどういう事ですか?」

 

 「あれ?言っていなかったけ?」

 

 少し驚いたように言ってきた。

 何か特別な兵装でもあるのかと思い始めた。

 「あの、イクサとライニング・・・それと大垣少尉が搭乗予定のサードには・・・」

 と、続きを言いかけたとたん模擬戦が始まったのだ。

 

 「オッと始まったようだ」

 

 モニターの周辺で集まっている軍人たちはモニターに釘付けとなった。

 

 

 

 まずは、二組とも牽制しながらライフルを打ち合っている。

 だが、お互いに避けつつ、

 

 「なかなか鋭い撃ってくるね、向井は・・・」

 

 いや、相変わらずと言ったとこか

 戌井は思った。

 実践経験はさすがにあるだけの動きだ。

 

 『隊長』

 さすがに稲田の腕を知らない佐伯大尉は少し驚いている。

 彼は稲田が五年前の事件にかかわっている事を知らないのだ。

 

 「民間人にビビッているのか佐伯大尉」

 

 『い、いえ』

 

 明らかにびっひいる声が返ってきた

 

 

 

 「ほう、なかなかやるな向井」

 

 こんな腕を持っていて民間人かと、疑問に思えるほどの腕だ。

 的確かつ正確に撃っている。

 

 『そうですか?まぁ一様テストパイロットですから』

 

 彼は簡単に言った。

 確かにテストパイロットになる人材はそれ相当のセンスと技術をもっている。

 しかし、この動きは明らかに軍では隊長クラスに相当する。

 隊長と彼が組まなくって良かったと、そう思うようになった。

 

 「だが」

 

 民間のパイロットではなくプロとしてのプライドがある。

 そう思い、距離があったのを一気にブーストを使い接近していた。

 それにあわせるかのように、向井は援護をし始めた。

 

 

 

 「尾賀木少尉が突っこんでくるな」

 戌井は、冷静に状況を把握していた。

 しかし、厄介なのはその尾賀木少尉を援護している向井だ。

 

 「佐伯大尉応戦だ」

 

 『了解』

 

 突っこんでくる尾賀木少尉に対して

 佐伯大尉も接近戦で応戦するように近づいて行った。

 それを援護する戌井

 その正確な射撃は尾賀木少尉機体を捕らえていた。

 被弾しつつ接近したため完全に接近戦になる前に撃墜された尾賀木機

 それを見て少し油断したかの佐伯大尉は少し止まった。

 そこに向井の的確な射撃によって機体は大破、爆発した。

 

 

 

 レベルの高い模擬戦しかし、残りの機体は隊長機と民間機だった。

 書きらかに小は行き決まったな、と言う空気になり始めた。

 しかし、一部の軍人がまだモニターを見ている。

 それに気付いた別の軍人たちは再びモニターに目をやったのだ。

 すると、明らかに先ほどとは違う動きの二機がいたのだ。

 

 「何だありゃ」

 

 「これは、隊長どうした戦闘か」

 

 「実践その物だな」

 

 と、再び見始めた軍人は各々の感想を言った。

 

 「何があったのですか?」

 

 と、大垣は先ほどのメーカーの人に聞いた。

 意外な返事が返ってきた。

 

 「あれは、どうも両方リミッターを解除したみたいだね」

 

 開放率80%と、言ったとこか。

 その言葉に大垣は、驚いていた。

 

 「え?それはどういう事ですか」

 

 「それはね、機体にスペックを求めすぎて扱いきれない物になっているんだ」

 

 「え?」

 

 「まぁ、通常時はスペックの50%までの上限を加えいる」

 それ以上あげると機体にがたがきやすくなるからね。

 

 「それに、バッテリーの減りもパイロットにかかる負荷も大きいから、

  普段は解除しない事になっているんだ」

 

 「まさか、サードにもそれが付いているのですね?」

 

 と、先ほど言いかけていた兵装らしき物の正体はコレかと思い始めた。

 

 「お、いい勘しているね。システム自体はパイロットを選ぶから使い手はあの二人だけだよ」

 

 今はね

 突然歓声が聞こえた。

 どうやら決着が付いたのだ。

 とっさにモニターに顔を向けると。

 互いに撃ちあって再起不能になったみたいだ。

 

 「どうやら引き分けみたいだね」

 

 彼はそう、言い残して格納庫の奥の方に消えて行った。

 あんな機体を扱えるのかと、大垣は自己に言い聞かせていた。

 その結果はどうなるかはすぐそこに待っていたかのように。

 数日後判明していた。

 

 

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 REV.2.00