それは、夏の出来事だった。
お店が開店し、約三ヶ月がたった。
お店の経営は軌道に乗り
毎日お客さんがそれなりに来ている。
経営の主な内容は
もともと親戚がやっていた系列のお店なので
この町の支店として経営している。
しかし、平日に出れる人が極端に少なく
ほとんどのバイトの人が学生で
店長すら現役の大学生
社会人としての店の社員は
副店長を含む数名だけだった。
その中で一番優秀な人
バイトの人の中で一番最初に入った彼は
今では、バイトの人をまとめる役をしている。
「野洲くん今日はこの辺で上がっていいよ」
と、大垣は接客を終えて裏の休憩所に入って来た彼に言った
「え、良いんですか?」
学校が夏休みに入ってから
ほぼ毎日のように
ここでバイトしている。
「うん、いつも出てくれているし、
本来なら今日は休みだったはずでは」
確かにそうだった。
急用ができた人の変わりに入ったらしいが
これで休み前から連続で三週間出ている。
「っま、今日は上がりなよ」
「それでは、言葉に甘えて」
と、健也はタイムカードを通して
「それではひつ礼します」
と言い部屋を後にした。
野洲が部屋に帰ると
本来一緒に住んでいる大牙の姿がない
「あっ、そうか今実家に帰っているだっけ」
夏休みを利用して実家に帰るのは珍しくない
むしろほとんどの人がすることだ。
そう言えばこの階が以上に静かな気がする。
お盆を控えているからなお更の事だろう。
さて、これからどうしようかと、考えていた
その時、携帯が鳴ったのだ。
着信音からして、メールだとわかった。
メールの送り主は野洲大樹からだった。
内容が
今すぐこっちに来てほしい。
と、一言だけだった。
断る理由もないから行くことにしたが、
しかし、何所に行けばいいのか?
兄貴の仕事先は何所だったかな?
と、思い出そうとする。
そもそも、どんな仕事していたっけ?
そのとき、脳裏に横切る青い制服
「っあ、警官だ」
しかも、この町にある交番に勤務している。
しかし、用事とはなんだろう。
そんなことを思いながら部屋から出て交番へ向かった。
交番に向かう途中
学校の近くの道場を通ると
大賀虎永に会った。
どうやら今から道場に行くらしい。
道場に入るのを見送って
再び交番に向かって歩きはじめた。
十分ほど歩いたのだろうか
ようやく交番に着いたのだ。
外から交番の中を窺うと二人の獣人
一人は野洲大樹こと兄貴だ。
そしてもう一人の犬の獣人
真っ白な兄貴と違って灰色と白のツートンで
年は兄貴より同い年か少し上に見える。
「兄貴の同僚かな」
呟く健也
こちらに気づいたのか大樹が出てきた。
そして、強引に手を引いて交番の中に引き込んだ。
その光景を見ていた通りを歩いていた人の目線は
その交番に注がれていた。
交番に強引に引き込まれたあと、
奥の部屋まで通された。
そこでやっと開放された健也。
「兄貴、用は何?」
ストレートに聞く健也
「コレを見てくれや」
と、指を指した。
その先にあった物は
デスクトップ型のパソコンだった。
「健也こお言うの得意やろ」
と、満面な笑顔で言っている大樹
それに不満を持ちつつ
「得意けど・・・原因が分からないと」
そこに同僚の人が
「使っている時に焦げ臭い匂いがしてから
突然切れた。その後途中まで起動するのですが
その後まったく動かなくなるのです」
焦げ臭い匂いの後動かなくなった。
要するにどこかがショートしたことが
そのことから分かる。
「中を見るけど良い?」
「かまわんが、直るのか?」
少し心配している。
「それを確認するのに中を見るんだ」
きっぱり言った。
「まっ、健也に任せとけばいいんや」
大樹がそお言うと
「野洲さんがそお言うなら」
納得はした様だが
いまいちな反応である。
話がまとまったところで健也は作業を始めた。
あとがき
このシリーズではじめての前後が
ある話となったこの話です。
後半に続く
今回、初登場した人が二人います。
まずは
野洲(やす)大樹(だいき)
野洲健也の従兄弟であり兄貴的な存在
町の道場に通っていて大賀虎永とは知り合い。
関西弁を使う(半分だけですが)。
そして、もう一人
佐伯(さいき)宗次(そうじ)
彼も大樹と同じ交番に勤務する警官
警官なのにまったく土地勘がなく
割と高い確率で迷子になる。
REV.1.00